セリンとレンカク 1話目
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それからも私とレンカクはこの関係を続けた。
マジメにやればいいのに、という言葉はその通りだった。無茶してザコの群れに突撃する必要はあまりなく、周囲をみてインク管理を怠らなければ、割と何とかなる。何とかなる要因にレンカクがいるのは否めないが……。
「やっぱ素質があるからだね」
ヘリの中で水を飲むレンカクが言った。
「元々ウデはあるから、あとはコツを掴めばいいだけだったんだ。そろそろ俺が教えることもなくなってきたなー」
「え……」
「俺から解放されて嬉しいんじゃない?」
「……そ、そうね」
終わり?もう?
もう、このカンケイも、終わり……?
「んは……っ」
いつものように仮眠室を利用して、胸を
この報酬も何回目だろう。日々、仕事終わりに乳首を擦られ、もどかしいまま帰宅する。レンカクの指を思い出しながらオナニーをすることが日課になり、セックスへの欲求は高まっていく一方だ。
それも、もうすぐ終わる。もう乳首を触られることを期待しながら仕事をすることもなくなるし、レンカクの指を思い出して自分で乳首を摘むこともなくなる。
「んはっ、ああ」
戻れたほうがいい……。絶対にそう。こんなカンケイ続けていたって、お互い良いことはない。仮眠室は誰でも利用出来るし、いつ見られるか分からない。一線を超えないのであれば、また以前の生活に、日常に戻れる。
もどれるの、だけど……
「あっ、ああっ、んっ、そ、それ、すき……」
「ん?これ?」
こうやってレンカクに、フクの上から指の先を使って乳首をカリカリと擦られるのが、大好きになってしまって。
もう、してもらえないと思ったら……
「ああっ、それ、すきぃ……んんっ」
嫌だと、思う自分がいる……。
「どうしたの。今日は積極的だね。嬉しいけどさ」
「はああ……、ああ、あっ」
私、このカンケイが好きになっちゃんだ……。レンカクに後ろから胸を揉みしだかれて、乳首を摘まれて……。この気持ちよさが、好きになっちゃった……。
レンカクの股間にお尻を押し付ける。そこには硬くなりつつあるおちんちんがあって、それが私をさらに昂らせた。
どうしてこの間、触らせてきたの……?私とセックスがしたいの……?私も、私もしたい……。レンカクとセックスが、したい……。
「はは、ちんこが気になるの?そんなに押し付けられちゃ勃っちゃうって」
「い、いいじゃない……。すこし、くらい……」
「え……?」
何を、言っちゃった……?
「お、おちんちん、気持ちよく、……なりたく、ないの……?」
あーあ……。
「……それって……」
これ以上は、言葉に出せなかった。
私はベッドに付いていた手をスパッツにかけて、勢いよく下に下げた。……つもりだったのだが、汗で肌に張り付いたスパッツは思った通りに脱げず、少しもたもたとしてしまった。
「……セリン……」
レンカクにお尻を突き出し、太ももをぴたりと閉じる。
「す、素股ねっ、入れたら、ダメなんだから」
「……っ」
レンカクの息を飲む音が聞こえた。
レンカクはどんな顔をしているだろうか。約束にないことをしだして、軽蔑しているのか。簡単に膣に入れられるこの状況にしたり顔をしているのか。
こうなることを予想して乳首だけ触っていたのかもしれない。いつか私が欲しがるから、その時は渋々ヤったと言えるように準備していたのかもしれない。
「……ひ、必要ないならしないけどっ」
少しの沈黙が耐えられずスパッツを戻そうとしたとき、レンカクが後ろから抱きついてきた。胸を触らず、ぎゅっとされるのは初めてだった。
「したい」
「……なら、はやく、しなさいよ……」
後ろでフクを脱ぐ音を聞きながら、再びお尻をレンカクに向ける。
私何してるんだろう……。こんなことして……。
ぷに、と太ももと股間の間に柔らかいモノが当たった。その柔らかいモノの中心はとても硬く、脂肪の壁をズリズリと掻き分けて奥へと進んでいった。
「あっ、あ……」
「セリン……」
レンカクの先っぽが股間の肉も掻き分けていく。クリトリスを少し擦ったところで、ずずず、と抜けていくおちんちん。そして再び太ももと股間の奥まで差し込まれる。
「あ、はぁっ」
刺激の強さはそんなにない。しかし自分のカラダでおちんちんを擦られているということ、いつ本当のセックスをしてしまうかもしれないスリル。そして、レンカクの吐息が……私を異様に興奮させた。
「セリン……、すごい……。ヌルヌルで気持ちいい……。いつもこんなに濡らしてたの?」
にゅち、にゅち、と粘度がある水が擦れる音が響く。思ったよりも滑りが良くて、濡らしている自分が恥ずかしくなってくる。
「あんなっ、触られ方したら、濡れるわよ……」
「気持ちよかったんだ?」
「……。き、きもち、よかった……」
「そっか、よかった」
お尻にレンカクの腰が何度も打ち付けられる。すごく気持ちいいわけではないのに、時折「あっ」と声が出てしまう。反射的に出るものなのに、感じて出しているようで何だか不本意だ……。
レンカクは腰を動かしながら、私の乳首を触ってきた。今回は、直接。
「あっ、やあっ」
「セリンのおっぱい、ずっと触りたかった」
いつもと違う、少し雑な揉み方をしてくる。レンカクの手のひらの熱さが乳房全体に伝わってくる。グニグニと揉まれて気持ちよさはほぼないが、その必死さが少しだけ可愛らしくて、イヤではなかった。
「おっきい……。すごい気持ちいい」
「き、きもちいいの……?」
「うん。なんか、安心する」
私はいつ挿入されるかもわからない状況にドキドキしているのだが。
くちゅくちゅと愛液がおちんちんで擦れる音を聞き、胸を揉みしだかれている。頭の中は真っ白というか真っ黒というか、真っピンクというか……とにかくモヤがかかって冷静な判断が出来ない。こんなことを自分から望む時点で冷静さは皆無なのだけど。
「レンカク……」
思ったよりも艶っぽい自分の声が耳に届く。
レンカクからカラダを離して、正面から向き合う。レンカクはトップスだけ着ていて、下半身はハダカ。私はトップスをめくりあげ、胸から下がハダカ。
レンカクの首に腕をまわし、顔を近づけて「セックス、したい」と、伝えてしまった。
「いいの?」
顔がより近づく。唇が触れるか触れないかのところで頷くと、私たちは唇を重ね合わせた。
キスなんてしたことがないから、どうしたらいいか分からない。レンカクが私の唇を軽く喰むようなことをしてきたので、思い切って真似てみた。
「ん、ふ……」
私のお腹にはレンカクのおちんちんが当たっている。愛液で濡れているため、少し動くだけでにゅるっと滑る。
「ん、……んっ!」
口の中に舌が捩じ込まれてきた。レンカクは私の口の中を、舌を使ってまさぐっている。歯を舐められ、舌を絡ませ、上顎を舐められる。
「んんん゛っ」
身を捩るとおちんちんがお腹で擦れる。
レンカクは私を抱きしめながら、少し腰を動かして、キスを続ける。
口で息が出来ないので、鼻息がレンカクの顔にかかってしまう。私にはレンカクの鼻息が掛かっていてイヤではないのだけど、レンカクに鼻息をかけるのは気が引けた。