セリンとレンカク 2話目
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ホテルを出ると空はすっかり暗くなっていて、繁華街の方が煌々としているが見えた。
レンカクと手を繋いで、言葉もなくホテルを後にする。
付き合ってからまだそんなにエッチをしていないから、こういうときどうすればいいのか分からない。
無言はヘンかな?でも何を話せばいいのか……。
「お腹空いてない?」
声に反応して顔を上げると、レンカクと目があった。普段見る、愛嬌のある顔。さっきまでしていたことを感じさせない、いつものレンカク。
そんなレンカクと目を合わせるのがなんだか恥ずかしくて、思わず下を向いてしまう。
「ん、うん。空いてる」
「何食べようか。ここら辺だと……エビラーメンが美味しいとこあるけど、今からだと並ぶかなあ。それかカニサンド……は、ロビーでも食べられるからなあ……」
うーん、と考えながら歩くレンカクの横顔を少しだけ視界に入れる。その顔がカッコよく見えて、また恥ずかしくなって、再び下を向いた。
「れ、レンカクと一緒なら、なんでも美味しいわよ……」
「ん。んー、そうかぁ。じゃあエビラーメンにしようか」
「うん」
「セリン」
名前を呼ばれて、顔を上げる。
「顔真っ赤だよ」
「ッッ!」
クスクスと笑うレンカクに何も言い返せない。
困ったな。ちゃんと好きだ……。